肺癌

肺癌の発生頻度は増加しており、1998年には全体の癌死亡でも第1位となり、2000年の集計では、年間の全死亡者数約96万人のうち、悪性腫瘍による死亡者数が約30万人で、そのうち肺癌が5万4千人を占めるまでに至っている。
大気汚染、喫煙、職業病との関連が重視されている。
発生母地は、気管支粘膜上皮、気管支腺上皮、肺胞上皮などで気管支癌、肺胞上皮癌とも呼ばれる。

肺癌の分類

組織学的にはおもに扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌、小細胞癌の4型に分類される。
治療方針の違いにより、小細胞肺癌とそれ以外の非小細胞肺癌(扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌)とに分けて扱うこともある。

扁平上皮癌
(squamous cell carcinoma)

大多数が男性で喫煙に関係がある。
比較的大きな気管支(肺葉気管支)に頻発し、腫瘤を形成し、時に癌性空洞を認める。
肺癌全体の約30%を占める。

腺癌
(adenocarcinoma)

区域気管支以下の抹消に単発性腫瘤として発見されることが多い。
通常胸膜面の近くに存在し、胸膜面の陥凹がみられ血行性転移をきたしやすい。
女性や非喫煙者がかかるのはほとんどがこの癌で肺癌全体の約半数を占める。

大細胞癌
(large cell carcinoma)

未分化な癌のうち、癌細胞が大型のもので肺癌全体の約5%を占める。
肺野で、肺嚢胞や肺気腫、肺線維症などを背景として発生する場合が多い。

小細胞癌
(small cell carcinoma)

未分化な癌のうち、癌細胞が小型のもので肺癌全体の約15%を占める。
増殖速度が速く、転移する傾向が強い。

症状

血痰、咳嗽、痰などであるが、腫瘍発生部位により異なり、中枢発生のものは症状が出やすく、末梢発生のものは無症状が多い。

野口分類

20mm以下の小型肺腺癌の光学顕微鏡的病理形態を6型に分類したもの。
この分類の特徴は予後の相関があったこと。
特に、死なない肺腺癌の病理像(A・B型)を明らかにしたことが挙げられる。
A型 限局性気管支肺胞上皮癌(LBAC)
B型 肺胞構造虚脱部分を伴うLBAC
C型 線維増成部分を伴うLBAC
D型 未分化癌
E型 管状腺癌
F型 肺胞破壊性に進展する乳頭状腺癌
(画像診断2003.5より引用)

症例

肺癌の症例【図1】
【図1】
当院のルーティン胸部CTは、スライス厚7mm、インターバル7mmで再構成表示しています。
矢印のところRt S3aに、15mm大のすりガラス陰影(ground glass opacity:GGO)を認めます。
肺癌の症例【図2】
【図2】
記病変のところを2mm厚でスキャンしROI:18cmで再構成した写真(HRCT:High Resolution CT)です。
サイズ、病変の境界、辺縁、胸膜陥入像、病変内部の性状等をcheckします。
VATSにてadenocarcinoma(野口-B)と確定診断されました。
肺癌の症例【図3】
【図3】
7mm厚のルーティンCTです。
矢印のところRt S10にGGOを認めます。
肺癌の症例【図4】
【図4】
2mm厚のthin sectionでスキャンしROI:5cmで再構成したHRCTです。
サイズ8mmの病変が浮き上がります。
これで病変の性状がcheckされます。
VATSにてadenocarcinoma(野口-A)と確定診断されました。
以上2例ですが、死なない癌、野口-A,Bを見つけるように日々努めております。

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