医療関係者審議会歯科医師臨床研修部会意見書により提示された国民から望まれる歯科医師像実現のために、地域基盤型のかかりつけ歯科、予防歯科・口腔ケア、包括的総合歯科医療についての基本的臨床能力(態度、技能、知識)についての研修を行います。
基本的な歯科技術のみならず、顎変形症や外傷、炎症などの入院、手術症例を含む口腔外科疾患やインプラントなど特殊な補綴処置等、より専門性の高い症例についても学びます。また、他科入院患者等の全身管理下での歯科診療や口腔ケアなど、医科と歯科の連携体制および地域歯科医療機関と病院歯科との連携体制などについても研修します。 講演会やセミナーは、年間十数回ありそのほとんどが無料で受講できる上、全国学会、地方学会の旅費も支給されます。学会発表等も積極的行っており、希望者には論文作成なども指導します。
歯科口腔外科部長 | 東森秀年(とうもりひでとし) |
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標榜科 | 歯科口腔外科 |
一日平均外来患者数 | 50~60名(手術日を除く) |
年間入院患者数 | 80名 |
歯科医師数 | 常勤3名(内指導医数:2名)、非常勤1名 |
歯科衛生士数 | 常勤9名 |
歯科技工士数 | 非常勤1名 |
ユニット・チェアー数 | 5台 |
当院は日本口腔外科学会の関連研修施設です。 病院歯科と地域の開業歯科医院との連携により、地域全体の歯科医療の向上を目指しています。歯科診療のなかでも一般の歯科医院では対応困難な口腔外科疾患の手術・処置及び特殊な補綴処置等、より専門性の高い疾患を対象に、病院高次機能を活用した高度な医療を提供し、地域の歯科医療に貢献しています。
心疾患・糖尿病・脳血管障害などの基礎疾患がある人や医科に入院中の患者の一般歯科治療を、担当医師や麻酔科等と連携をとり、全身管理のもと安全に治療を行います。
また、周術期における口腔機能管理・口腔ケアを行い肺炎などの合併症を予防したり、経口摂取に関連した栄養支援(NST)、終末期における口腔の緩和医療などにも取り組むとともに、地域へも発信しています。
広島県指定のがん拠点病院でもあり、広島県および呉市歯科医師会との連携のもとがん患者の口腔管理や終末期医療における口腔ケアにも力を入れています。
研修医生活を振り返って
卒後、研修先の選択はこれから先何十年と続く歯科医師人生において原点となりうるため非常に重要な選択になります。呉共済病院で研修することは口腔外科医を目指す方はもちろんの事、将来的には開業を考えている方にとっても口腔外科の経験があることは大きな武器になると思います。
研修医としての最初の仕事は初診患者の問診でした。呉市は高齢化率が高く、基礎疾患のある患者様が数多く受診されます。内服薬や血液検査結果など、問診から得られる情報は多く、今後の治療計画を立案するうえで最も重要と言っても過言ではないと実感しています。
症例は抜歯、嚢胞や腫瘍、炎症、外傷など多岐にわたります。当科では特にインプラントや顎変形症の症例が多く、SimPlant®というソフトを用いて顎骨の移動やインプラントの埋入をシミュレーションします。研修中にSimPlant®を使用できるのは他施設ではそれほど無い貴重な経験だと思います。
また、私は以前より摂食嚥下機能に興味があり、そのことを先生にお話した際には、当院で摂食嚥下評価を担当している耳鼻咽喉科の先生に掛け合っていただき、回診に参加させていただくようになりました。このように自分の興味あることや、やってみたいこと、学会への参加、発表など積極的に後押ししてくださる環境にあるので、自分次第でより充実した研修医生活を送ることが可能です。
最後に、当科の一番の魅力は雰囲気の良さです!!先生方は本当に優しく、質問にも丁寧に答えてくださいます。右も左も分からない研修医にとっては最高の環境だと思います。少しでも興味のある方は是非見学に来てみてください。
呉共済病院での研修について
2020年4月から臨床歯科研修をさせていただいています。
呉市は、2009年に、人口15万人以上の都市での高齢化率が全国1位となり、2020年現在で35%、紹介患者さんが多い江田島での高齢化率は43.6%と高く、入院患者の多くが高齢者です。広島県は周術期口腔管理の普及率が全国1位で、県内の病院歯科でも特に周術期口腔ケアに力を注いでいます。ほぼ全ての手術に対して術前・術後の口腔ケアを行っているところに驚きました。骨粗しょう症治療や悪性腫瘍の化学療法・放射線治療開始前の口腔内診察や、必要が有れば、抜歯や口腔ケア介入など歯科が積極的に関わり、医科の先生とも密な連携を行っています。
外来の初診患者さんの問診では、有病者が多いため、既往歴、内服薬が複雑でカルテに残す必要性が高く、多岐にわたる患者さんの訴えを把握し指導医の先生に簡潔に報告することは難しいです。限られた時間内で上級位の先生に何から伝えるべきか迷うことも多いです。
口腔外科だけでなく、補綴の先生もいらっしゃる為、一般歯科について学ぶこともできますし、歯科技工士さんから、正確な印象採得のコツや個人トレーの作製方法、その他の技工物を作製する際の注意事項を教えてもらうことで、今後の臨床に活かせることも多く学べています。
毎週水曜日には全身麻酔下で口腔外科手術があります。
使用する点滴薬剤の入力・把握など、全身管理を学ぶことができます。
手術は、顎変形症症例が多く、患者さんの紹介は県内だけでなく他県からも多いです。
矯正分野と歯科口腔外科分野の共同治療・経過フォローを見学できますし、手術では実際に手洗いをしてガウン・滅菌手袋を装着し、直接介助に携わることができます。硬性内視鏡を用いて骨切りラインや骨の接合状態等をモニターするのも研修医の仕事です。
その他、自費診療であるインプラントの治療計画やコンピュータソフトを使用して埋入計画を立案すること等貴重な体験をさせていただいています。
今年はリモート参加が多いですが、勉強会の回数や種類も豊富で、一般的な歯科内容のみならず,NST(多職種による栄養サポートチーム)、歯周再生療法,矯正歯科やスポーツ歯科について等、多岐にわたり経験できました。
医科の研修医の先生方との交流も貴重な経験であり、勉強熱心な先生が多いので刺激を受けることも多いと思います。
最後になりましたが、上記以外にも多くの魅力が呉共済病院にはありますので、是非見学に来て見てください。
呉共済病院 歯科研修医としての一年
昨年の今頃、当科での研修を前に立てた目標として、「病院歯科の役割、仕事内容を経験し、視野を拡げる」というものがある。
この1年間の研修では、外来処置・手術・入院患者の口腔管理と、様々な主訴、既往を持つ患者に触れ、経験することが出来た。この点において、病院歯科の役割と仕事内容を経験するという目標はおおむね達成できたのではないかと思う。日々、開業医の先生方から多くの患者をご紹介頂ける環境も、多くの症例を経験する上で非常に重要な点であった。
また、それらの患者に対し真摯に向き合い、治療にあたる先生方の姿を見て、自分もいずれこのような歯科医師になりたいと心から思える環境で研修に臨むことが出来た点は、非常に幸運であった。
更に、病院外では多くの学会、勉強会に参加させて頂き、臨床現場だけでは学べないことが多くあることも知った。呉がんチーム医療研究会では、がん治療に従事される各方面の専門家の方々を前にし、「頭頸部癌患者に対する口腔ケア」をテーマにスライド発表する機会も頂き、とても貴重な経験となった。
歯科口腔外科部長である東森先生を始め、米田先生、新土井先生の、歯科医師として臨床現場だけでなく学会や研究会、講演会を通じてその他医療従事者に向けて発表、講演する姿を見ることが出来たのも、非常に新鮮な経験であった。これらの経験は、歯科医師として治療に従事するだけでなく、医療の一端を担う存在として、自らがイメージする歯科医師としての視野を拡げるきっかけとなった。
病院歯科であるからこそ、全身疾患にも目を向け、様々な科の先生方とも交流を持てたことも非常に参考になった。
大学病院という研究機関における診療が「最先端」であるとするならば、当院の様な市中病院での診療は「最前線」であると言える。特に、高齢化率全国1位である呉市の真ん中に構える当院は、文字通り、日本の最前線を張る病院である。古い歴史を持ちながら、最前線で市民のよりどころとなる医療を提供する先生方の姿を拝見できたことは、かけがえのない経験であった。
一年間の研修生活を振り返って
呉共済病院で研修を始めて一年が過ぎようとしています。この一年間を振り返ってみて確実にいえることは研修医としてこの病院で働くことができて良かったということです。研修医の期間はこれからの歯科医師の礎を築く時間だと思っています。どうせ研修をするなら、学生時代と同じような環境で研修をするよりも、一般開業医で経験することのないような症例を経験したいと思い、一年前この病院を志望しました。実際に、抜歯、腫瘍、外傷、顎変形症、インプラント治療等、多種多様な症例に携わることができ、貴重な経験をさせていただきました。また全身疾患を持つ患者さんへの歯科治療、周術期口腔機能管理等、口腔内のアプローチが全身状態へのアプローチにも繋がるといった口腔と全身の臓器の密な関係性について学び、総合病院での歯科の役割を日々実感しています。
また、知識や技術面だけではなく社会人、医療人としての心構えもこの一年を通して学ぶことができました。
しかし、正直なところ良いことばかりではありません。四、五十人の同期がいる大学病院とは異なり、病院歯科口腔外科での歯科研修医はたいてい一人か二人であるため孤独感や寂しさがありました。もし大学病院で研修をしていたら・・・と以前は考えることもありましたが、先生方やスタッフのみなさん、同期の医科研修医の方々が皆優しく接してくださるため周りに恵まれていると感じる日々です。
四月からも二年目として研修をさせていただきますが、一年目で学んだことにより一層磨きを掛けさらに多くの知識、技術はもちろん医療従事者としてのあるべき姿を学びながら精進していきたいと思います。
勤務形態 | 常勤(当院で定めた勤務時間の全てを勤務とする) |
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研修手当 | 基本手当 300,000円/月 賞与 200,000円/年 |
勤務時間 | 8時30分~17時15分 |
休暇 | 土日祝日 その他(有給休暇、夏季休暇、年末年始) |
時間外勤務の有無 | 有( 時間外手当 ) |
当直有無 | 無 |
宿舎 | 有(宿舎料は当院規程による) |
病院内の室 | 有 |
公的医療保険 | 有(国家公務員共済組合) |
公的年金保険 | 有(厚生年金保険) |
労働者災害 補償保険 |
有 |
国家・地方公務員 災害補償法の適用 |
無 |
雇用保険 | 有 |
健康診断 | 年1回(採用時に実施) |
歯科医師賠償責任 保険に関する事項 |
病院において加入(有) 個人加入(任意) |
学会、研究会等への参加 | 可 |
募集予定人数 | 歯科医師臨床研修プログラム 2名 |
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応募資格 | 令和7年度歯科医師国家試験受験予定者 |
試験実施日 | 令和6年7月23日(火)小論文:13時00分〜13時50分・面接:14時00分〜 令和6年8月6日(火)小論文:13時00分〜13時50分・面接:14時00分〜 |
試験内容 | 筆記試験・面接 |
出願書類 | 履歴書(市販のもので可)・卒業見込証明書 |
研修開始日 | 令和7年4月1日(1年間) |
〒737-8505 広島県呉市西中央2丁目3番28号
電車でお越しの方
「JR呉線・呉駅」下車、徒歩約7分
バスでお越しの方
クレアライン線をご利用ください。
「呉駅前のりば」下車、徒歩約7分
車でお越しの方
立体駐車場(病院建物より道路を隔てて正面、24時間・280台収容可・有料)
陸橋にて直接病院に入ることができます。
身障者用駐車場(敷地内・救急部横)
※病院見学者は駐車場を無料でご利用いただけます。