アレルギー科部長・呼吸器内科医長 河瀨 成穂
呼吸器内科で行う検査に「気管支鏡」というものがあります。
気道や肺に生ずる病気を診断する目的で行います。直径3-6mmのビデオスコープを口から挿入し、声帯を通り越えて気管、気管支の中を観察したり、組織や細胞、分泌物などの検体を採取したりします。胃カメラと同じ構造ですが、胃カメラと比べるとかなり細いです。
気管支鏡検査は、腫瘍性の病気(肺がんなど)、炎症性の病気(間質性肺炎など)の検査目的に行われます。
このような病気ではどのような症状があるのでしょうか。
一般的に気管支鏡検査は以下のような症状がある時に行うことが勧められます。
当院では、肺の末梢/気道の奥まで届く3mm径のファイバーから、鉗子孔が大きく、吸引などの処置に使用する6mm径のファイバーまで各種揃えており、患者さんの病状に応じて使い分けています。
気管支ビデオスコープ
気管支ビデオスコープのサイズ
上部・下部消化管内視鏡、いわゆる胃カメラ・大腸カメラは食べ物の通り道の検査ですが、気管支鏡検査でみるのは、空気の通り道です。食べ物をむせると咳込むように、気管支鏡検査の時には、咳が出やすく、呼吸困難も生じやすいです。そのため、苦痛をできるだけ少なくするために、鎮静薬を用いて検査を行います。
また、当院では検査当日に来院いただき、検査後に呼吸状態が良好かどうか確認するために1泊2日の入院検査をお勧めしております。
また、気管支鏡で正確な診断を行うために、次のような機器を用いて検査にあたっています。
細径超音波プローブで腫瘍に到達した際の図(当院症例)
中心にあるのがプローブでまわりに腫瘍が描出されています。
クライオの機器
クライオのプローブ
(アムコウェブサイトより引用)
気管支鏡は主に病気の診断のために行いますが、治療のために行うこともあります。肺の一部から空気漏れをおこす病気を気胸といいます。漏れている部分を手術で修復するのが最も治療効果が高いのですが、肺機能が悪く、全身麻酔や手術の負担に耐えられない方もいらっしゃいます。そのような場合、漏れている部分に関与する気管支に詰めものをする治療を行うことがあります。開発者の名前から、EWS(Endobronchial Watanabe Spigot)充填術と呼ばれています。
呉地域の皆様が安心して最新の診断・治療を受けられるような体制をとっております。
お困りの症状などありましたら、呉共済病院 呼吸器内科にお気軽にご相談下さい。