四肢外傷外科部長・整形外科部長代行 内田圭治
リバース型人工肩関節置換術(以下RSA)は、2014年4月より本邦で導入されました。解剖学的に置換する従来型人工肩関節と比較し、回復不能な腱板機能障害を伴う患者様にも適応となることが最大の特徴です。
RSAは治療の最終手段で、機能改善の選択肢の1つです。特殊な例を除き65歳以上が適応となっています。疾患としては腱板断裂性関節症や高齢者の骨接合が困難な3,4パート骨折新鮮例、腱板断裂術後再断裂例など従来型では90度以上の挙上が期待できなかった症例にも適応となります。
肩甲骨関節窩下方の骨欠損(2.3%) 神経障害(3.6%)術中骨折(上腕側1.34% 肩甲骨側1.07%)術後骨折(肩峰疲労骨折2.14% 転倒による上腕骨骨折)術後不安定症(脱臼など1.47%)感染(0.4%)ほかインプラントのゆるみ摩耗、動脈性出血、血腫、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、異所性骨化などがあります。(数値は本邦)
原因疾患や術前の状態により異なりますが、当院では術後約3~5週間の肩関節装具固定、入院リハビリ治療を行っています。 脱臼リスクがあるため、術後3カ月間は背中に手を回す動作を控える必要があります。退院後は2~4カ月間の通院リハビリで日常生活に支障のない機能回復を目標とします。
RSAはすぐれた機能回復を得られる反面、感染など重篤な合併症を引き起こす可能性もあります。人工物で耐用年数の問題もあり、過度の負荷がかかるような作業、スポーツなどはお勧めできません。
当院では研修を受講した認定医(整形外科 寺元秀文、内田圭治)を中心に、術前カンファレンス、術前計画をしたうえで治療を行っております。
肩が痛い、挙がらないなどお困りの症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
*数値ほか 日本整形外科学会リバース型人工肩関節全置換術適正使用基準より引用しています。
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