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健康コラム

Time is brain 脳梗塞超急性期治療

2020.07.01

脳神経外科部長 栗山充夫

Time is money(時は金なり)という言葉がありますが、脳梗塞治療においてはTime is brain(時は脳なり)という言葉があります。脳の栄養動脈が閉塞すると脳細胞に十分な酸素やブドウ糖が供給されず、脳機能は障害され運動麻痺など症状が出現します。機能障害が出現しても、当初は生存している脳細胞があり、これも時間とともに死滅し、脳梗塞になります。そこで、発症より短時間で血行を再開させ、脳梗塞の危険のある細胞を助けて脳梗塞を最小限にする必要があります。脳梗塞治療では発症より血行再開までの時間短縮が重要だというのが、Time is brainの意味です。

脳梗塞には動脈硬化による脳動脈の閉塞や、不整脈で出来た心臓内の血栓による脳動脈の閉塞などと、種々な原因があります。いずれの脳梗塞でも治療は、発症より4.5時間以内では、血栓溶解剤を静脈注射し閉塞血管を再開通させる血栓溶解療法を行います。脳の太い動脈が血栓で閉塞した場合、血栓溶解療法では効果不十分で、引き続きカテーテルを足の付け根より脳動脈に導き、血栓を取り除く血栓回収療法を行います。
この治療は吸引カテーテルで血栓を吸い付かせて回収したり、ステントという金属網で血栓を絡めて回収するものです。血栓回収療法は、いくつかの治療条件がありますが、血栓溶解療法の適応外や、発症より時間経過したもの(24時間以内)でも行えます。大規模な調査で、血栓回収療法により機能的自立となる割合が大きく増えるという結果が出て、脳卒中治療ガイドラインでは強く勧められる治療となりました。

当院では、超急性期脳梗塞に対して、各部門の連携で時間短縮に努める診療体制を整え、血栓溶解療法や血栓回収療法を適切に行い、成果をあげています。

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