脳神経外科医長 藤井 謙太郎
脳神経外科は脳外科とも呼ばれ、脳、脊髄や末梢神経に関わる疾患の診療を行います。
今回はこの中で脳腫瘍の診療についてご紹介いたします。
脳腫瘍は頭蓋内に発生する腫瘍の総称で、大きく転移性脳腫瘍と原発性脳腫瘍とに分かれます。転移性脳腫瘍は、脳以外の部位にできたがん(肺がんや乳がんなど)の細胞が血液によって運ばれて頭蓋内に転移したもので、もう一方の原発性脳腫瘍は頭蓋内に発生する新生物で、遺伝子などの詳しい解析を行って細かく分類すると150以上もの種類があります。
脳腫瘍(黄色の矢頭)のMRI画像
また脳腫瘍には良性と悪性の腫瘍があります。
良性の脳腫瘍では、軽い頭痛やめまいなどをきっかけにしてMRI検査で見つかることや無症状ながら偶然脳ドックで指摘されるケースも多くみられますが、悪性の脳腫瘍は、病状の進行が早いため多くは病状が急速に悪化し、手足の麻痺、言語障害さらには記憶力の低下など、腫瘍が発生した部位の障害による様々な症状のために受診されます。
脳腫瘍の治療は原則手術による摘出ですが、良性であれば中には手術は必要とせずまずは定期的に検査を受けて病変に変化がみられないことを確認すればよいケースもあります。しかし悪性であれば多くはなるべく早く手術で腫瘍を摘出する必要がありますし、場合によっては放射線治療や抗がん剤等の追加治療を行う必要があるものもあるなど、腫瘍の種類や病状によって対応が異なります。早期の受診はもちろんですが、適切な診断および方針の決定、すなわち画像検査を行い経過観察するか、手術をはじめとした治療を計画するかを判断することが非常に大事です。
当院では脳腫瘍とわかった際には適切に判断し、治療が必要と判断したら個々の患者さんの状態に合わせて最適な治療方針を提示しています。丁寧に説明し納得頂いた上で、最新の技術を用いて安全で正確な治療を行うことを心掛けています。また、必要と判断された場合には他の病院への紹介も行います。
もし脳腫瘍のことでお困りのことなどありましたら、ご遠慮なく呉共済病院脳神経外科へご相談下さい。
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