当院外科は地域の急性期医療を担う病院として腹部救急疾患の診療を、またがん診療連携拠点病院として様々な消化器のがん診療を行っております。
今回はその中でも「大腸外科」についてご紹介いたします。
がんの中でも大腸がんは罹患数が男女とも2位、死亡数は男性が2位、女性は1位となっています。大腸がんは部位によって結腸がんと直腸がんに分かれますが、直腸がんは再発率が高く、また肛門に近い部位のため、手術後の排便機能が生活の質に大きく関わるため、外科医の知識と技術がより高度に求められます。当院では大腸を専門的に扱う外科医を定め、治療に力を注いでいます。
以前は大きくお腹を開ける開腹手術を行っていましたが、現在は傷の小さな腹腔鏡手術を取り入れています。腹腔鏡手術には傷の大きさだけではなく、手術後の回復が早く、合併症が軽減されるなど様々な利点があります。また、一定の割合で生じる大きな合併症に「縫合不全」がありますが、当院では手術中に腸管の血流を調べる蛍光造影検査を取り入れ合併症軽減に努めています。チーム医療にも積極的に取り組んでおり、消化器内科や病理診断科と治療方針について毎週検討しています。手術前後には栄養・リハビリ・口腔ケアチームと連携して様々な状況の患者さんの入院治療が安全に行えるよう連携しています。
大腸がんの治療は手術だけではなく、手術前後に行う抗がん剤治療(化学療法)も重要となります。近年ではがんの遺伝子を調べることで、それぞれの患者さんにより適切な薬剤を選択することができるようになっています。抗がん剤治療には様々な副作用も生じてきますが、病棟薬剤師や各診療科とも連携して必要な治療を継続できるような体制を整えています。
大腸がん、大腸の救急疾患では人工肛門(ストマ)がどうしても必要となる場面があります。病気・手術と身体に負担のある中で不安も大きいと思いますが、皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCN)を中心に、病棟看護師・外科医師を含め皆で人工肛門の管理について協力しています。
潰瘍性大腸炎やクローン病を中心に炎症性腸疾患が近年増加しています。薬剤治療・手術治療の判断は難しいとされますが、当院では外科・内科で連携して治療にあたっています。
クローン病は再発しやすいため、将来再手術が必要になる可能性を考え、癒着が起こりにくいとされる腹腔鏡手術を積極的に取り入れています。
呉共済病院外科は市民のための病院として様々な疾患に対応できる体制を整えています。
地域の皆様の健康に役立てるよう、今後も引き続き尽力して参ります。
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