肺に障害があるため肺の機能が働かなくなり体に酸素が足りないときや、気道が細くなり換気が十分にできないため二酸化炭素が排出されず意識障害が生じたときに、患者さんの呼吸を代行し、血液の酸素と二酸化炭素を調整するために人工呼吸器が使用されます。人工呼吸器には気管に管を挿入して管理するものと、気管に管を挿入せずに顔にマスクを装着して管理するものがあります。当院は前者の人工呼吸器を14台、後者のマスク専用人工呼吸器を2台保有しています。人工呼吸器は、救患部や集中治療室の他、一般病棟、血管造影室などで幅広く使われていますが、生命維持のために欠かせない重要な医療機器です。臨床工学技士は組み立て点検(貸出点検)や使用前点検、定期点検、部品交換を実施する以外にも病棟をラウンドし、適切に使用できているか使用中点検を行い、回路交換も実施しています。また、トラブル時には迅速に対応しています。
人工呼吸器が正しく安全に使用できるように、臨床工学技士が人工呼吸器を組み立て、点検をしています。点検内容はタッチパネルの確認、換気量のチェック、アラームの確認、時刻合わせ、付属品の確認等を実施しています。また、病棟から依頼があれば呼吸器を使用場所まで持って行き始業点検を行った後、医師の指示による設定変更やマスクの装着、使用開始後の点検も行っています。
人工呼吸器が貸出されると、呼吸療法認定士を持った臨床工学技士が病室に伺い、換気設定やアラーム設定の確認、自発呼吸との同調性、異常なグラフィックがないか、加温加湿器の温度・水量確認、マスクの場合は適切に装着されているかなど、チェックリストに沿った使用中点検を実施しています。また、Dr.へ設定変更の提案なども行っています。また、人工呼吸器長期使用時は回路交換を2週間に1度行っています。
外観点検や換気量やおよび酸素濃度の実測などの動作確認を含めた総合的な定期点検を1回/6ヶ月の周期で実施し、センサー類に不良がないか確認しています。また、プリティブメンテナンス(予防保全)として、臨床工学技士による部品交換をメーカー指定の使用時間ごとに実施し、故障の予防に努めています。
RSTとは人工呼吸器を装着した患者を対象に、医師、看護師、理学療法士、臨床工学技士などの多職種が集まって活動するチームです。当院での活動内容は、適宜RST回診を行うとともに、月に一度のカンファレンスで情報を共有し、今後の治療内容について話し合っています。臨床工学科では、呼吸療法認定士を持った臨床工学技士が3名参加しています。