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健康コラム

尿蛋白陽性と言われたら

2022.11.01 腎臓

腎臓内科 卜部 麻子

健康診断で尿検査をしたとき、尿蛋白陽性という結果を経験したことがありますでしょうか。蛋白尿は尿中に150㎎/日以上の蛋白が漏れ出ている状態のことをいいます。尿蛋白が陽性になる疾患は、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎、高血圧や糖尿病による腎障害などがありますが、発熱や激しい運動、ストレスなどによってみられる一時的な蛋白尿である機能的蛋白尿や、立位のときにのみ蛋白が排泄される起立性蛋白尿(体位性蛋白尿)などのように、腎疾患が原因ではない蛋白尿もあります。
腎臓はたくさんの血管が集まっており、血液をろ過する働きをしています。その際に蛋白質は、ほぼろ過されず体内に保持されますが、ろ過するためのフィルターに何らかの異常が生じた場合、蛋白質が漏れ出てしまい、尿蛋白陽性となります。
ここで注意すべきことは、実際にどのくらいの量が漏れ出ているかどうかです。
健康診断で行う尿検査は定性検査で、結果はマイナスやプラスで表現されています。
これだけでは病的意義のある量が漏れ出ているかはわかりません。
というのは、尿定性は濃度による評価のため、同じ量の尿蛋白でも濃い尿では数値が大きくなり、薄い尿では数値が小さくなります。
定量検査により量を認識する必要があります。
だからといって定性検査に意味がないということはなく、簡便に腎障害の有無を判別できる大切な検査です。重要なのは、尿蛋白陽性という結果を放っておかないことです。
尿中蛋白量が大量であれば尿の泡立ちや足のむくみを自覚することがありますが、少量であればほとんど無症状です。
そのため、放っておいてしまう気持ちもわかりますが、疾患によっては蛋白量によって腎予後に関係してしまうことがありますので、尿蛋白陽性を認めた際には、腎臓内科への受診をしていただければと思います。

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